前回で書ききれなくなった漫画「サクラ大戦奏組」のネタバレあり感想の続きです。
前回は2巻目まででしたので、今回は最後まで書いていきます。
↓前回の記事
sakuma1903ria-dialy.hatenablog.com
第3巻
第1巻を読み始めたときはヒロインの名前が「ネコ」であることについて微妙な気分になっていたのですが、あまり気にならなくなっていました。平和な帝都の日常感はけっこう味わえます。話と話の間に載っている4コマも、日常感を補完しているように思えます。この3巻目はルイス回とヒューゴ回です。ルイス回を読んだときは……マリアさんが過ぎりましたね……。マリアさんも初代1ゲームの第3話(マリアさんのヒロイン回)で、ひとりで敵地に行ってしまうのです。その時は大神さんに続いて帝劇のみんなが助けに来てくれる流れでしたが、奏組は助けに行きませんでした……。ちょっと困惑してしまいました。ヒロインとヒーローの差なのかしら。
ヒューゴは私が見たところ、かなりマリアさんでした!前回も書きましたが、金髪で左目隠れがち(ヒューゴは完全に隠れてるわけじゃないけど)で、読書が趣味……そして、そして、なんですか、その大事な人の形見っぽいペンダントは!?マリアさんのロケットとおんなじだ(*^O^*)←ちょっと違う。ヒューゴが音子を戦わせたくなかったのも、単に女だからというのではなくて、欧州大戦でお母さんとお姉さんを目の前で失ったからだったんですね……なるほど。マリアさん!!(^^)
人によってはルイスの過去の方がマリアさんぽく見えるかもしれないけど、私はヒューゴの方がすごくマリアさんだと思いました(マリアさんじゃないけど)。私が大好きになった初代1~4のマリアさんは暗殺者とかそういう雰囲気ではなかったので。ヒューゴが音子を戦わせたくない理由について「俺たちとは生きてきた世界が違う」と言う場面があります。マリアさんが第3話でひとりで行ってしまった理由も、これじゃないかと思っています。同世代の女の子たちと帝劇で過ごす日々は、マリアさんにとってすごく新しいことだったと思うのです。あったかいお風呂とご飯と、ストーカーの入ってこない部屋があって、毎日お芝居の稽古に打ち込み、戦闘はあるけどそれは都市防衛のためで、舞台に立ってお客さんにキラキラした目で見られる生活なんて、それまでの生活とだいぶギャップ(※1)があったのではないでしょうか。カンナさんはゲーム内でいろいろ喋ってくれるけど、マリアさんは自分のことなかなか喋らないからなあ……。好きです(*^O^*)!……マリアさんの感想になってきたので、いったん落ち着きます。
3巻目にして、ついに音子ちゃんも戦闘服を支給され、楽団としても戦闘員としても奏組の一員です。お揃いの戦闘服についてのエピソードは、サクラ大戦2のゲームでもありました。元欧州星組のレニと織姫が花組と同じデザインの戦闘服を支給される場面ですね。いや~、帝国華撃団はいいな~(*^∇^*)っていう気分になりますよね。奏組も、一応帝国華撃団の組織ですからね。この巻は、音子ちゃんが奏組との新しい生活と街を愛していく様が描かれています。いい巻です。
第4巻
4巻目は最終巻です。短いなあ……。そして、4巻目は丸々、男子校に潜入する話になっています。奏組メンバーも一緒に潜入しますが、女子は音子ちゃんだけになります。ただ、女子が男子校に潜入するシチュエーションの漫画も珍しくはないんですよね。ドラマ化などもされた「花ざかりの君たちへ」は有名ですね。奏組と連載時期が近いものだと、「桜蘭高校ホスト部」なんていうのもありましたね。こちらは男子校潜入とは違いますが。(※2)……ここまでの流れで奏組と音子ちゃんにかなり親しみを持った読者であれば話は別ですが、そうでない読者はだいぶ離れてしまったのではないでしょうか……。それとも、読者からの評判がイマイチでテコ入れのための展開だったりしたのだろうか……。
実は3巻目から「デノンマンサー」という降魔を操る(?)組織みたいなのが、(たぶん)海外から帝都にやって来ています。そのデノンマンサーの企てを阻止する目的で、音子と奏組は学園に潜入することになります。奏組では、和と西洋の対立みたいなことをやっていく予定だったのでしょうか。この巻に出てくる秋宗くんが持っていた観音様はマリア観音のように見えます。隠れキリシタンが政府の目を誤魔化して信仰を続けるために作ったという観音像です。春宗・秋宗兄弟のお母さんは、キリシタンなのでしょうか……。作中では何も言及はありませんでした。
音子ちゃんから実にサクラ大戦らしい言葉を聞けます。ずばり「大好きな人達の住む街を守りたい」です。これは私がサクラ大戦のゲームをやっているときに思っていたことそのままであり、ゲーム内のヒロインたちの気持ちでもあると思うのです。帝劇で、帝都の街で暮らした思い出、花組だったら舞台に立ってお客さんと共有した時間の思い出もあります。「必ず生きて帰ります!」とか熱いセリフ(?)などがサクラ大戦の肝として挙げられることがありますが、私はこの音子ちゃんのセリフを読んだときに一番「サクラ大戦!!(T_T)」と思いました。途中から殆ど楽団として活動している場面が描かれていないのが気になっていたりしたのですが、そんなことは些細なことだったとさえ思いました。私も秋宗くんに花組の舞台を観せてやりたかったです。
最後にヒューゴさんの視点の番外編がついています。奏組のメインヒーロー(?)はヒューゴさんなのでしょうか。第1巻で一番最初に音子と遭遇したのはメガネのジオでした。まさかこの人がメインなのか?と思ったのですが、違うようですね……。マリアさんみたいなヒューゴが……メイン……(*^^*)ジオも好きですよ!
結局、謎の組織については、ほぼ謎のまま最終回となってしまいました。せっかく支給された戦闘服を音子ちゃんがみんなと一緒に着ている場面もなかったのが残念。もう少し長く続いていたら、そんな熱いシーンもあったのかもしれません。それと、メインヒーロー問題。ここまでの描かれ方だとヒューゴがメインぽいけど、途中、音子ちゃんのお見合い話が出た回で恋人役になったのは源二です。乙女ゲーとしての展開を考慮していたなら、ヒロインに固定の相手役は作らない予定だったかもしれませんが、乙女ゲーのコミカライズでヒロインに漫画版としての相手役ができることもなくはありません(※3)。
奏組がゲームのサクラ大戦と同じ時間軸の出来事だったら、いったいどこの時期の話なのか、というのも気になります。最初に音子が花組を思い浮かべるときは8人分のシルエットがありました。しかし、花組の公演していた内容は「愛ゆえに」「愛はダイヤ」となっていて、初代1のゲームを思い起こさせます。花組がブロマイドや声だけや人影で登場するときも、レニや織姫っぽい形は見えませんでした……。
奏組が表で花組公演のオケ担当をしていて、その裏で花組が出動するまでもない小さな霊的事件を鎮圧しているとすると、花組の公演中に小さな霊的事件が起きたらどうするのでしょうか。楽器は5人くらい抜けてもなんとかなるのかもしれないけど、指揮はどうするのか……総楽団長がやるのでしょうか。でも、総楽団長が米田さんみたいな役割だとしたら、指揮振ってる場合ではないような……。最終巻では、けっこう大きな事件ぽくなっていたような気がするけど、どこまでが小規模事件なのでしょうか。これも漫画を読んだだけだと謎です。
……と、謎な部分は多いものの、あの花組の戦いの脇で、もしもこんな部隊が戦っていたら……という気持ちで読むと、かなり楽しかったです。音子ちゃんのあのセリフで、やっぱりサクラ大戦は街が大事だ(※4)と改めて気づいたのもよかったです。歌謡ショウのレビュウ衣装のブロマイドがあったり、親方がちらりと登場したり、歌謡ショウ方面のファンにもウフフ(^^)な小ネタはあったと思います。
漫画はモノクロだったので、色がついたのを見てみたいですが、舞台版はどうでしょうか。漫画で謎だった部分が語られていたりするのかな?確か、アニメはPVしかないんですよね。
「出番が、なかったわ……」
マリアさんはオンドレ様の声だけとブロマイドの絵だけの出演でしたね^^;
※1 OVAでマリアさんが訓練に寝坊したさくらを、めちゃくちゃ軍人言葉で起こしているシーンがあります。こんなところからも、それまでマリアさんが置かれていたであろう環境が窺えます。帝撃に来るまでは日本語を殆ど使っていなかったであろうマリアさんが、いったいどこでそんなガチガチの軍人言葉を使いこなせるようになったのか謎です……。マリアさんの言語習得能力は凄まじい……。
※2 「花ざかりの君たちへ」は1996年~2004年まで花ゆめで、「桜蘭高校ホスト部」は2002年~2010年までLaLaで連載されていたようですね。奏組と同じく、どちらも白泉社の雑誌ですね。
※3 コーエーの乙女ゲー(ネオロマンス)、「アンジェリーク」がコミカライズされたときに、ヒロインのアンジェリークが攻略キャラのひとりであるランディ様とエンディングを迎えました。同じ「アンジェリーク」のドラマCDでは、また別の攻略キャラのひとりであるルヴァ様とのエンディングを迎えました。
※4 初代1のゲームをやった人ならだいたいの人が行き当たるイベントと思われますが、第一話の夜の見回り時にメインヒロインのさくらが帝都の街の灯を見ながら心情を話す場面があります。そして、第二話ではマリアさんが同じように街の灯を見て平和に想いを馳せています。こちらは絵なしの会話イベントですが、マリアさんの人柄が分かるとてもいいイベントです。ちなみに、PS2リメイクの血潮ではこの素敵なイベントは(私が確認したところによると)削除されています。血潮ゲーム内の「マリアさん」は見回りで舞台に行くと「神聖な舞台に立ち入るな!」と理不尽に怒ってきて、そうかと思えば、さくらとすみれのケンカを止めに舞台に立ち入っても平気な顔をしているなど、人間的に不信なところが多すぎます。隊長の仕事を正しく理解してくれて、いつも誠実だったマリアさんはどこへ……?血潮のゲームを中心になって作った人は、マリアさんが嫌いだったのかしら……(ーー;)